テニスコラム『サポーターとテーピングの効果について』(中編)
(前編)
https://www.nltc.co.jp/blog/column/20211204191113-1405/
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コラム⑦ 肩の痛み
転倒した際に肩を強く打ったことはありませんか?自転車で転んだ際に肩を打ちつけていませんか?四十肩の経験はありませんか? 冷えた身体でいきなりサービスを強く打ったことはありませんか?
転倒時の打撲は肩痛の原因の中でも多いのですが、この瞬間広背筋と背骨に大きな負担がかかり歪んでしまっているケースが多いようです。
実は肩の痛みと言っても肩そのものに原因があるばかりではないことが多いのです。
「肩関節は浮遊関節と呼ばれ、骨による支えが少なく、骨と骨との間の液体の入った袋(関節包)の中に浮いている状態になっています。だからよく動くことができるのです。
「けん玉」をイメージしていただくと分かりやすいのですが、手で持つ玉を乗せる広い部分が肩の付け根(肩甲骨)で、腕の付け根(上腕骨)が玉になります。このふたつは肩の内部ではくっついていません。いわゆるパラレル(平行)状態になっています。このパラレル状態が何らかの事情で崩れると、骨と骨が接触して痛みが出ます。
「上腕骨頭」の移動距離は、腕を高く上げたり、左右に大きく動かしたりしても、最大で1.7ミリ程度しか動きません。つまり付かず離れずの関係が良好な状況なのです。
また、体中の関節の中で最も不安定な関節で、脱臼の中で約50%が肩だそうです。
そして肩の可動域(動く範囲)が他の関節に比べ広い理由は、たくさんの関節が大きく動くようにできているからで、両手の動きの範囲は最大で約2メートルに及びます。それ以上無理な動きをするようなことになると摩擦が生じて骨と骨がぶつかって痛みが出ることに繋がります。
無理な動きを急激または重ねると、腱板(肩の後ろにある)が変形して断裂することがあります。程度にもよりますがテニスプレイを続けるためには手術が必要な場合もあります。
『耐えられないほどの痛みが無く、日常生活での問題がなければ手術は必要ないですが、テニスのサービスを納得するまで打ちたいと考えるような人は手術したほうが良いでしょう。手術の殆どは内視鏡手術ですからダメージも少ないです』と専門医の言葉です。
資料の出所:2019.11.24 第49回テニスメディカルセミナー「テニスにおける肩障害の病態と手術時所見」 主催:日本テニス・スポーツ医学研究会 文責 富樫
日本テニス協会医事委員会の整形外科及びスポーツドクターとトレーナー、テニス指導員。講師のドクターは皆テニス大好き人間で、優れた実績と研究を続けている医師、オリンピックやデビスカップに随行している医師、ドクターと連携して活躍しているトレーナーたちです。
四十肩は寝ていても痛いのですが、殆どは肩以外からくる原因が多いのです。
本当に肩が原因の場合もありますが、肩の後ろにある腱板や広背筋の損傷が原因の場合が多いのです。また、背骨が湾曲し、その影響で背中の筋肉が硬直して肩が痛いと感じる場合もありますので痛みが激しい場合は信頼できる専門医の診断の下、正しい治療を受けてください。
基本的に骨の異常はレントゲンで分かりますが、必要によりCT画像で診断されるケースもあります。診察ではレントゲンの最新画像が求められるため診察時の度に撮影を行うはずです。
そこまでの痛みではないと考える人は、先ずはストレッチです。可動域が狭まっていることが原因と考えられますのでゆっくりストレッチで時間をかけて広げましょう。
その次に筋力アップです。上腕筋と背中の後ろ側にある広背筋を鍛える(元の筋肉量に近づける)ことで痛みを軽減し可動域と一緒にパワーも復元しましょう。そしてトレーニングで更なるパワーアップを図りましょう。
肩に使用するサポーターはあることはありますが、市販されている物は大げさでかさばる上、体格に個体差があるので安易に購入することは避ける方が無難です。どうしても欲しい人は専門医と相談してオーダーメイドすることをお勧めします。
〇肩サポーター
コラム⑧ ふくらはぎ
長時間のデスクワークや仕事中に、ふくらはぎが重い、だるい、違和感がある、就寝中に痛みが出る、こむら返りが起こる、冷える、等の症状をお持ちの方も多いようですね。
世代にもよりますが、共通していることの多くは睡眠不足と水分不足です。
これは職場のエアコンによる冷え、同じ姿勢を維持する時間が長いことから起こるエコノミー症候群の一歩手前で、身体が水分と運動を要求しているサインです。
ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれ下半身に降りた血液をふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋:腓腹筋とヒラメ筋で構成されている)がポンプのような働きをして静脈を使い心臓に送ります。この機能が低下することが原因になりますから、このポンプを冷やさないようにして圧をかけて動かしてあげることが改善策に繋がります。
予防するために最も簡単なのは、圧迫サポーターを装着することです。できれば就寝中以外の終日装着しておくと良いでしょう。帰宅したらお風呂で脚を温めてください。
冷えを感じる人も装着することをお勧めしますが、就寝時は「きつくない」サポーターをお勧めします。ふくらはぎのサポーターは安価で簡単な脱着が可能で両脚に装着した方が効果的です。
〇ふくらはぎサポーター
コラム⑨ 足首の痛み
なんだか足首の付け根辺りに違和感を覚える。歩行中に足首に痛みが出る時がある。
捻挫した経験はないのに足首が痛い。等の症状が時々出る人は結構います。
捻挫していないのに足首に不安を感じることは誰でもあります。アキレス腱が痛いのとは少し違うなあと考えるときの原因は最も多いのが体重増です。
足首は全体重を受けていますから1㎏の増加は歩いたり走ったりすることで、体重の何倍~何十倍の負担が足首にかかることになるからです。
特にテニスは走る、飛ぶ、ストップ、ダッシュの繰り返しですから、その負担は更に大きくなり捻挫も起こしやすくなります。
改善策は減量ですが、痛みが続く場合はテニスをしばらく休んで様子を観ることをお勧めします。どうしてもプレイを続けたい場合は、テーピングで固定することが一般的ですが、足首のテーピングは難しいため正しくできる人は少なく面倒で費用もかかります。そのためサポーターをお勧めします。
最近のサポーターはとても良くできており完全固定が可能なものもあります。
価格も1,000円~10,000円程度まで幅広いですが、できるだけ伸縮性ベルトで固定できるタイプをご使用ください。
コラム⑩ アキレス腱
アキレス腱が痛いと感じたら?単なる疲れかもしれませんが、、?
一般的には体重増、ふくらはぎ、膝の炎症が原因として考えられます。原因が疲労からか、運動による炎症なのか不明確なことが多い部位のため痛みがひどいときは専門医の診断を受けることをお勧めします。
その上で医師から運動(テニス)の許可をもらえたら、サポーターを装着することをお勧めします。が、アキレス腱専用サポーターは特にありません。足首のサポーターとふくらはぎのサポーターの2種類を併用して使用することが多いです。
それ以外は専門医の治療を受けてオーダーメイドすることをお勧めします。
※アキレス腱のテーピングは難しく時間もかかり骨折したかのように大げさになります。
※テーピングの上にサポーターを装着することが多いです。
※安静にして冷やさないようにしてください。
〇足首のサポーター
※錦織モデルは最強です
〇伸縮性ベルトで固定するので安定感があります
コラム⑪【特別寄稿】 体幹トレーニングをしましょう!
この原稿はフィットネスインストラクター辻本拡さんから書いていただいたものです。筋肉トレーニングの専門家の視点から「体幹」の重要性と、その役割の重要性をご確認いただき、鍛えることを実行に移していただけると嬉しいです。
スポーツ動作に於いて【体幹】が重要だという事は既に一般の方でも良く知られているところです。しかしながら、では「なぜ体幹が大切なのか?」という事に関して説明できる人はまだ多くはないと思います。ズバリ「なぜ体幹が大切か?」という回答をお伝えするのであればそれは「(他の筋トレより)格段にパフォーマンスの向上に繋がるから」です。
これまで①~⑩のコラムでお伝えしてきたことは、主に痛みや障害に対するアプローチとしてのトレーニングが中心でした。「腰痛予防の場合は腹筋と背筋トレーニング」「膝痛予防の場合は大腿四頭筋トレーニング」など、痛みを予防改善する答えとして日々の運動が重要であることをお伝えしてきました。これはマイナス(痛み)をゼロに補ったり、最新技術のサポーターを活用することで苦手な動きをよりよくしたりという発想です。
運動を障害予防の概念として取り入れていくことは「生涯スポーツ」を目指す一般スポーツユーザーにとって必要不可欠な概念です。それに対して、スポーツ動作だけを行ない、基礎的なトレーニングを行なわない場合は、基礎トレーニングを続けているユーザーに比べて、明らかにケガのリスクが高まり、結果としてスポーツ生命が短くなります。
この点で、先ずは「一日でも長くご自身が大好きなスポーツを楽しく続ける」為にコラムを参考に是非、基本のトレーニングを継続して実施することをおススメします。
(※ストレッチも運動動作と同じくらい重要ですが、この点は今回は割愛します。)
さて、話を【体幹】の話に戻します。前述した基礎トレーニングを継続して実施することが「自身の現状パフォーマンスを維持させる」を目的とすると、体幹のトレーニングの目指すところは「ご自身のパフォーマンスを更に向上させる」という要素が強くなります。
つまり「ゼロ」から「プラス」を作る運動です。その理由は【体幹トレーニング】は「筋肉のトレーニング」ではなく「動きのトレーニング」だからです。
スポーツには必ず動きが伴います。「テニスのフットワーク」「ゴルフのスイング」「バレーボールのアタック」「野球の投球動作」など、よくイメージ出来ますね。
【体幹トレーニング】が目指すところは、こういった動作の中に軸を作るためのトレーニングと言い換えられます。軸のない動作からは効率的なパワーやスピードを得ることが出来ないからです。
1つ例をとって軸を考えてみます。右手に30cmの(1回目)木の棒、(2回目)バネ(またはしなやかな定規)を持つことを想像して下さい。もった木の棒、そしてバネを左右に早く振ってみましょう。さて、それぞれどの様な状態になるでしょうか?
皆様のご想像通り、以下のような事がおきます。
・木の棒→どんなに振っても手と一緒に動く。
・バネ→振るとバネの上下の先端部分が遅れて動く。
結論として、【体幹トレーニング】の目指すところは後述した【「バネ」を作る運動】になります。(細かく話すと、一概には言えないのが実際ではありますが)「テニスのフットワーク」や「ゴルフのスイング」も軸(持っている右手)が安定して、枝部分(バネの先端部分)が意識して動かせるような状態になって初めてパワーやスピードが生まれるのです。
基本のマシントレーニングはそれぞれの筋肉を個々に高める事は出来ますが、スポーツ動作は個々の筋肉の連動によって成り立っている為、動作の直接の向上に繋げるには【体幹トレーニング】がとても大切になるのです。
さて、代表的な体幹トレーニングですが、まずは「ホバー」をおススメします。うつ伏せ姿勢から、脚を肩幅に開きつま先(または膝)で下半身を引き上げます。上半身は肩の下に肘が来るようにして上体を持ち上げて下さい。(画像参照)
まずは、10秒から始め、出来るようになったら20秒、30秒・・・60秒と秒数を増やして行きましょう。※腰痛持ちの方は無理をせず、膝で床を支えて実施してください。
〇体幹トレーニングが気になる方は、マシンジムスタッフに聞いてみましょう!!
ダンロップスポーツクラブ川口店
クラブセクションチーフ 辻本 拡(つじもと ひろむ)
コラム⑪ 大腰筋(だいようきん)を鍛えましょう
歩行中に平らな場所でつまずいたり、簡単な障害物に足を取られた経験はありませんか?大腰筋をご存知ですか?下の本の表紙の赤い部分です。
大腰筋は腰の脊柱と太ももの大腿骨を繋いでいます。下の本の写真の中で骨の絵の赤くなっている部分です。つまり上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉(インナーマッスル)で姿勢維持のために重要な役割を担っています。
「大腰筋」は歩行の際に足を引き上げたり踏み出したりする動作をつかさどっています。この筋肉が衰えてくると足を大きく上げたり、大きく踏み出したりすることがだんだんできなくなってきます。更に骨盤のズレや脊柱が反ってしまうことで、これをかばうために姿勢が前かがみになって次第に猫背になってしまいます。
姿勢の維持には背筋や腹筋も使われますが、大腰筋の衰えによってこれからの筋肉にも影響が出て、筋力が低下し脊柱をしっかり支えることが出来なくなるからです。
そうなると腰に上体の重みが集中し、骨盤の傾斜が強くなって腰痛、肩こり、首の痛みなどが起こってきます。大腰筋の衰えは老化を進める元であり全身の筋肉を衰えさせます。
つまり老化の進行を早めることに繋がります。「大腰筋」を鍛えるためには簡単にできる「スクワット」をしましょう!いつまでも元気でテニスを楽しむためには「大腰筋」を鍛えること、「足腰を鍛えること」なのです。
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後編へ続きます。
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